法華経「授記品第六」②|無限の光、香る世界

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法華経「授記品(じゅきほん)第六」の後半部分の現代語訳です。前半で摩訶迦葉と須菩提に授記(未来成仏の予言)が与えられたのに続き、ここでは残る二人の大声聞、大迦旃延と大目犍連にも、壮大な未来が約束されます。 かつては「小乗(自分だけの悟り)」に生きていた彼らが、無限の時間を超えて仏となり、光り輝く国土で無数の人々を導く姿。それは、私たち一人ひとりの未来にも重なる、希望の物語です。

目次

第三の光――大迦旃延への黄金の約束

世尊は、次に大迦旃延(だいかせんねん)に視線を向けられた。  議論第一と称され、仏の教えを論理的に解き明かしてきた彼にもまた、光り輝く未来が待っていた。

「諸々の比丘たちよ、聞くがよい」

この大迦旃延は、未来において八千億の仏に仕え、供養し、恭しく敬うであろう。  仏たちが世を去った後も、彼は供養を続ける。  高さ千由旬(約7000km)、幅五百由旬(約3500km)にも及ぶ巨大な塔を建て、金・銀・瑠璃・瑪瑙・真珠・紅玉髄などの七宝で飾り、花や香、絹の天蓋を捧げる。  さらにその後、二万億の仏にも同じように仕え、菩薩の道を完成させる。

そしてついに、仏となる。

「その名を、閻浮那提金光如来(えんぶなだいこんこうにょらい)と言うであろう」

閻浮那提(えんぶなだい)とは、世界で最も美しい黄金が採れる川の名だ。  その黄金のように輝く仏となり、十種の称号を得る。

その国土は平坦で、水晶の大地が広がり、宝樹が並び、黄金の縄が道を区切る。  美しい花が地面を覆い、どこまでも清浄で、見る者の心を躍らせる。  そこには、地獄・餓鬼・畜生・阿修羅という四つの悪道は存在しない。  天人と人間が多く住み、無数の声聞と菩薩たちが集い、その国土を荘厳に飾るであろう。

仏の寿命は十二小劫。正法二十小劫、像法二十小劫。  世尊は、この輝かしい未来を詩に託して重ねて説かれた。

――比丘たちよ、私の言葉は真実だ。  この迦旃延は、種々の供養をもって諸仏に仕え、  仏滅後も七宝の塔を建て、花や香で遺骨を供養する。  そして最後の身において仏の智慧を得る。  その国土は清浄で、無数の衆生を救い、十方から供養を受ける。  仏の名は閻浮金光。  その慈悲と智慧に勝る者はなく、菩薩や声聞たちがその世界を美しく飾るであろう。

大迦旃延が未来に開く「閻浮金光如来」の黄金に輝く世界

第四の光――大目犍連への香る世界

最後に世尊は、大目犍連(だいもくけんれん)に告げられた。  神通第一。超人的な能力で知られる彼にも、約束の時は来た。

「この大目犍連もまた、未来において仏となるであろう」

彼は八千の仏を供養し、さらにその後、二百万億の仏に仕える。  仏滅後には、七宝で飾られた巨大な塔を建て、供養を捧げる。  そうして菩薩の道を歩みきった時、彼は仏となる。

「その名を、多摩羅跋栴檀香如来(たまらばつせんだんこうにょらい)と言うであろう」

多摩羅(たまら)と栴檀(せんだん)。それは極上の香木の香りだ。  その名の通り、香り高く、徳の高い仏となる。  劫の名は「喜満(きまん)」、国の名は「意楽(いらく)」。  喜びが満ち、心が楽しむ世界だ。

国土は平坦で、水晶の大地には真珠の花が散りばめられ、宝樹が並ぶ。  どこまでも清浄で、見る者を歓喜させる。  天人と人間が多く、声聞と菩薩の数は無量である。

仏の寿命は二十四小劫。正法四十小劫、像法四十小劫。  世尊は、この妙なる未来を詩に託して重ねて説かれた。

――私の弟子、大目犍連は、この肉体を捨てた後、  八千二百万億の仏に仕え、仏道のために供養し、梵行を修める。  仏滅後には七宝の塔を建て、黄金の柱を立て、花や香や音楽で供養する。  そして意楽国において、最高の悟りを得る。  名は多摩羅栴檀之香。  その寿命は二十四小劫、常に天人のために法を説く。

声聞たちは無数で、三明(宿命明・天眼明・漏尽明)と六神通(神足・天眼・天耳・他心・宿命・漏尽)を備え、威厳がある。  菩薩たちも無数で、志は固く、精進し、決して退転することはない。  仏滅後も、正法と像法は共に四十小劫続き、教えは長く保たれるであろう。

大目犍連が未来に開く「多摩羅跋栴檀香如来」の香り高い世界

五百人の約束、そして過去への扉

四大声聞への授記を終え、世尊は満足げに微笑まれた。  そして、まだ不安げな表情を浮かべる他の弟子たち――五百人の阿羅漢たちを見渡された。

「私の弟子たちよ、威徳を備えた五百人の阿羅漢たちよ」

お前たち一人ひとりにも、未来において必ず授記を与えよう。  お前たちは皆、ことごとく仏となるのだ。  疑うことはない。道はすでに開かれている。

しかし、なぜお前たちが仏になれるのか。  私とお前たちの間には、実は遠い過去からの深い因縁があるのだ。  今、その物語を語ろう。  よく聞くがよい。

仏の言葉は、未来の予言から、過去の因縁話へと移っていく。  それは、「化城喩品(けじょうゆほん)第七」へと続く、壮大な魂の旅路の始まりだった。

五百人の弟子たちに授記を約束し、過去の物語を語り始める仏

■ 主な参照文献

  • 『現代語訳 法華経』(2025年11月刊」)
    創価学会教学部 編(聖教新聞社)
    ※本文の構成・現代語訳・語義理解の確認に使用
  • 『法華経(上)』
    坂本幸男・岩本裕 訳注(岩波文庫、岩波書店)
    ※サンスクリット原典の構造および仏教用語の学術的確認のため参照
  • 『妙法蓮華経 並開結』
    (鳩摩羅什 訳)
    ※漢訳原典に基づく章構成・ストーリーの流れの確認に使用
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